研究概要 |
この研究の基盤は、これまで単一粒子に限られていた繊維による捕集機構を凝集体を含む系へ拡張し、凝集体の分散・捕集同時現象のメカニズムを解明することにある。今年度の主な成果は,コンピュータシミュレーションによるメカニズム解明の基礎となるソースコードを開発し、種々の条件が捕集に及ぼす影響を明らかにしたことにある。以下に,その内容をまとめた。 繊維層フィルタは、単繊維捕集効率を層全体に拡張することによりデザインされる。従って、正確な単繊維捕集効率を得ることが、設計上のキーとなる。既存の研究において単一粒子の単繊維捕集については、広く研究されており、得られた知見も多い。しかし、含塵ガスの状態によっては、粒子が凝集していることも多く、これまでの手法では、凝集体の捕集について考察することは、不可能であった。本年度は、離散要素法(DEM)と流体力学的なモデルを組み合わせた修正離散要素法を開発し、コンピュータシミュレーションにより凝集体捕集時の分散・捕集同時過程の計算機実験を行い、流速、粒子繊維間の付着性、繊維径が捕集率に及ぼす影響を明らかにした。また、種々の角度から凝集体を繊維に衝突させることにより単繊維捕集効率を調べ、既存の単一粒子の捕集効率と比較したところ、分散の影響が大きく、凝集体の捕集効率は、単一粒子の捕集効率と比較して、約50パーセント低下することを明らかにした。今後、確率論的な検討にょり繊維層全体の捕集効率を予測すること実験による理論の検証を行う予定である。(公表準備中)
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