研究概要 |
本研究の目的は、高速で大容量の水素を吸着できるような炭素材料を設計することである。 この目的の達成のためには、調製した炭素への水素の吸着量を正確に評価できる装置がまず必要となるが、水素は分子量が小さいため、重量法による吸着量の測定が容易ではない。そこで、本年度はまず容量法による高圧吸着装置を試作した。本研究の研究経費により購入した恒温層の内部に、ステンレス製の吸着容器を設置し、その反応容器に試料である炭素材料を充填し、吸着による圧力低下を圧力伝送器により記録するというものである。 本装置を用いて、活性炭、カーボンブラックを試料として、25℃、4MPaでの水素の吸着量を測定した。なお、これらの炭素の比表面積は、それぞれ3000,27m^2/gであった。これまでの報告を調べてみると、一般に比表面積が大きい炭素ほど水素を吸着するといわれているが、今回の実験ではたとえ比表面積が3000m^2/gという炭素でもほとんど水素は吸着しなかった。ついで、これらの炭素に白金を含浸担持することにより白金担持炭素を調製し、水素吸着量を測定した。その結果、白金担持活性炭、白金担持カーボンブラックともわずかながらに水素が吸着した。これは、水素が白金上でスピルオーバーし、解離吸着したためと考えられる。細孔のほとんど発達していない白金担持カーボンブラックの方が、細孔の著しく発達した白金担持活性炭よりも吸着量が大きかったことから、細孔の発達とは水素の吸着はあまり関係ないことが示唆された。
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