タングステンヘキサカルボニルW(CO)_6とスチレンC_6H_5C_2H_3の混合気体をガラスセルに封入し、この混合気体にYAGレーザ4倍波(266nm)を照射することで微粒子が気相で成長するかの確認を行った。タングステンヘキサカルボニルW(CO)_6はYAGレーザ4倍波(266nm)のレーザ光の多光子解離によりタングステンW原子を生成し、さらに生成したW原子はスチレンの二重結合に付加することで微粒子へと成長すると考えられる。レーザ照射後、ガラスセル中に配置した基板に薄膜の生成を確認した。赤外吸収分光による薄膜の分析の結果、スチレンに特有の赤外吸収ピークが見られ、上記機構による微粒子生成が示唆された。さらに、気相中における微粒子生成の確認を行うため、ガラスセルにHe-NeレーザをYAGレーザ4倍波レーザ光と同軸に入射し、He-Neレーザ強度の時間変化測定を行った。実験の結果、He-Neレーザ光強度の減衰が見られ、YAGレーザ4倍波による微粒子生成を確認した。そこで、タングステンヘキサカルボニルW(CO)_6とスチレンの混合気体のYAGレーザ4倍波光照射により生成した微粒子をLaser Induced Incandescence法により検出する事を試みた。微粒子生成用であるYAGレーザ4倍波(266nm)のレーザ光と直交して、微粒子検出用のYAGレーザ基本波(1064nm)のレーザ光を入射し、検出用レーザにより加熱された微粒子の輻射可視光を光電子増倍管で検出する事を試みた。その結果、YAGレーザ4倍波(266nm)のレーザ光照射直後に微粒子からの輻射可視光に基づく強い信号が見られた。試料気体を真空ポンプで排気すると信号が消えること、微粒子生成を促すYAGレーザ4倍波(266nm)のレーザ光を照射しない場合に信号は観測されない事などから、微粒子生成に基づく信号である事を確認した。
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