レゾルシノールとホルムアルデヒドをゾルーゲル重合させたものを界面活性剤を添加した油層に分散させて得られる有機湿潤ゲルを凍結乾燥し、炭化すると微粒子状のカーボンゲルが得られることが分かった。このカーボンゲルは径が数十nm程度の一次粒子が凝集した特異な構造を有する。材料中のミクロ細孔は一次粒子内に存在し、粒子間隙がメソ細孔となる。よって合成条件によって一次粒子の形状及び凝集形態をコントロールすることにより、得られる材料のミクロ、メソの両構造を独立に制御することが可能である。 そこで本研究ではこの材料の構造制御性に着目し、カーボンゲル微粒子を、非常に精密な構造制御が要求されるLi^+電池用負極炭素材料に適用し、Li^+容量が大きくサイクル効率も高いアモルファス系炭素材料の開発を目的として実施した。本年度は種々の条件下で微粒子を試作し、合成条件が微粒子の微細構造に与える影響について調べた。本法で得られるカーボンゲル微粒子は、比較的緻密な表面層と50nm程度の一次粒子が集まった内部から構成されていることが分かった。さらに、合成条件を調節することで、メソ細孔の発達したカーボンゲル微粒子や、エタンや二酸化炭素が侵入できないようなミクロ細孔が表面に存在するカーボンクライオゲル微粒子が作製可能であることが分かった。Li^+電池の負極への利用を考えると、後者のような微細構造を有する材料が適していると予想される。そこで得られた微粒子とリチウム金属箔を電極とする二極式のセルを作成し、定電流充電により材料のリチウムイオン容量を測定したところ、可逆容量は低いものの、アモルファス系炭素材料として不可逆容量が非常に低いことが分かった。そこで、来年度は材料内にヘテロ元素を導入することにより、材料のリチウムイオン可逆容量を増大させ、Li^+容量が大きくサイクル効率が非常に高い負極用材料の開発を目指す。
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