マイクロエマルションの内水相を反応場とする超微粒子調製プロセスにおいて、異方性の超微粒子が生成する場合が知られている。異方性の原因として、粒子の結晶構造の異方性やマイクロエマルションの微細構造の異方性、あるいはそれらの複合作用が考えられる。さらに、マイクロエマルションの微細構造は水、界面活性剤、有機溶媒の比率によって変化することから粒子の生成によっても変化することが考えられる。したがって、粒子が生成しつつある溶液そのものを対象として、マイクロエマルション溶液の微細構造と粒子の存在様式を明らかにする必要がある。 プラズマレプリカ法による溶液の微細構造観察をマイクロエマルション中におけるコバルトフェライト微粒子の生成過程に適用した。反応場であるマイクロエマルションの微細構造とマイクロエマルション中の直径約15nmのコバルトフェライト微粒子の集合状態を同時に捉えることができた。この微細構造はマイクロエマルション滴の集合体の構造であると考えられ、マイクロエマルションの含水量が増加すると微細構造の単位構造が大きくかつ長くなること、微粒子はこの微細構造の外表面に存在し、一部は孤立しているが、含水量が増加するとほとんどが集合体となることを明らかにした。 以上のように、マイクロエマルションの内水相を反応場とする超微粒子調製において、各マイクロエマルション滴は必ずしも独立の反応場ではなく、集合体を形成する場合があること、さらに本系ではこの集合体の表面に粒子が集まり、そしてここで粒子が凝集し、より大きな粒子集合体へと変化することを明らかにした。このように、マイクロエマルションを反応場とする粒子生成の機構を検討するためには粒子が生成しつつある溶液そのものの構造の確認が必要である。今後、異方性の微粒子が生成する系について検討を進めていきたい。
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