研究概要 |
ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)が形成する逆ミセル系と水相との抽出系に,トリオクチルアミンなどの長鎖アミンを有機相側,または,エタノールアミンなどの水溶性アミンを水相側に添加した場合の水の抽出量の変化を調べた.さらに,水溶性アミンの逆ミセル相への抽出挙動と水の抽出量の変化との関係についても明らかにした.油溶性アミンのアミノ基に親水性の置換基がある場合は,水の抽出量が増加し,添加濃度条件によっては有機相にゲル相が形成することを新たに見いだした.さらに,水溶性アミンの場合,疎水性に違いにより逆ミセルの粒径が大きくなる場合と小さくなる場合があることが明らかになった. 水の抽出量と添加したアミン類の濃度との関係を定量的に調べると共に,添加したアミン類の親・疎水性について検討した.pH変化によるアミン類からのアンモニウムイオンの生成と生成したアンモニウムイオンとAOTとのイオン対形成の反応平衡を考慮したモデルにより水のpH変化による水の抽出挙動を説明できた.これらの解析からAOTとアミン類の相互作用を明らかにした.添加したアミン類との相互作用により逆ミセルの形成制御ならびにサイズ制御が可能であることがわかった. AOTと油溶性アミン化合物との分子会合錯体によるアミノ酸の抽出実験を行なった.アミノ酸分子会合錯体が形成されるpHではアミノ酸はほとんど抽出されず,生成した分子会合錯体はアミノ酸と相互作用しないことがわかった.分子会合錯体の相互作用及びその構造を制御する必要があることがわかった.
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