メタノール改質による水素製造に対する高性能触媒の設計・開発のための基礎的知見を得ることを目的に、本年度は以下の研究を行った。 前年度の研究で、メタノール水蒸気改質に高い活性を示すCu/ZnO触媒の調製条件を明らかにしたが、本年度は酸素共存下において特性の評価を行ない、酸素の共存効果について明らかにした。 メタノール水蒸気改質における転化率および水素生成速度が酸素の共存により著しく向上することを明らかにした。特に、低温においてはその効果が顕著であり、酸素共存下の反応における水素生成速度は、非共存下の速度の10倍以上に増加することを見出した。これは、酸素共存下ではメタノール部分酸化反応(CH_3OH+1/2O_2→2H_2+CO_2)が選択的に起こること、その反応速度が水蒸気改質に比べ著しく速いためであることを明らかにした。 また、前駆体構造(aurichalcite、malachite、hydrozincite)およびCu/Zn比の種々異なるCu/ZnO触媒やSiO_2およびZrO_2に担持したCu触媒を用いて酸素の共存効果を検討した結果、いずれの触媒でも酸素の共存により転化率および水素生成速度が向上するが、その増加が顕著となる温度が触媒により異なることを明らかにした。すなわち、aurichalcite構造の前駆体から調製したCu/Zn比30/70のCu/ZnO触媒が、酸素の共存により最も低温から転化率および水素生成速度が増加することを明らかにした。
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