炭化水素によるNO選択還元反応が、酸素過剰雰囲気下での新しいNOx除去プロセスを目指した触媒反応として注目されている。これまで主に検討されてきた金属イオン交換ゼオライトは、本反応に高い活性を示すものの、実用化においては耐久性の問題が指摘されている。一方、金属酸化物触媒も本反応に活性を示すことが早くから知られているが、活性の点ではゼオライト系触媒には及ばないとされてきた。本研究では、高い耐久性を持つ酸化物触媒(遷移金属アルミネート)のディーゼル排ガス模擬条件での脱硝特性を検討するとともに、活性支配因子に関する表面化学的検討を行った。 遷移金属アルミネート触媒上でのNO選択還元特性における炭化水素の種類を検討した。炭化水素の種類(炭素鎖長、不飽和度、直鎖・分枝)を系統的に変化させてNO除去特性、耐久性を検討したところ、炭素鎖長の長い炭化水素を還元剤として用いた場合に極めて高い脱硝性能を示すことがわかった。この結果から、本触媒を用いれば、反応阻害物質と考えられる未燃軽油や未燃潤滑油などの高沸点炭化水素を積極的に利用可能して、NOx還元と同時に燃焼除去できることが示された。 in-situ赤外分光法より、反応中の表面吸着種の反応性を検討したところ、表面炭化水素種とナイトレート(N0_3^-)との反応が律速段階であり、高級炭化水素を用いることで上記過程が促進されることにより脱硝活性が向上することがわかった。
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