研究概要 |
環境の変化(ストレス・刺激)を認識して,自律的に応答して自己改変し,新たな秩序構造を形成する「生体機能摸倣型ナノバイオファクトリー」の設計・開発を目指して,「1.自律応答型人エシャペロン」および「2.ナノバイオファクトリー」をキーワードにして,以下の二段階に分けて検討を進めている.平成13年度は,主として前者の項目についてデータを蓄積した. (1)ストレス(刺激)条件下におけるスマートポリマーナノ分子集合体の調製・表面特性の解析 これまでの方法論(平成11・12年度科研費奨励研究(A),11750693)に基づいて,自律応答型人エシャペロンを開発した.設計指針に基づいて,各種ストレス(刺激)条件(例えば,温度,pH)で,鋭敏・迅速に構造を変化する刺激応答性高分子を合成した.開発済みの水性二相分配法・固定化リポソームクロマトグラフィー・誘電応答法などの解析手法を用いて,各種刺激条件における,スマートポリマー分子集合体表面のナノドメイン構造の疎水性・電荷を解析した.これらの解析には,既存の設備(クロマトグラフィー解析装置・誘電分散解析装置・蛍光分光光度計など)を利用した. (2)人エシャペロンの機能評価および設計指針の確立 モデルタンパク質の(i)巻戻り促進能,(ii)膜透過促進能,(iii)安定な複合体形成能など,スマートポリマー分子集合体の人エシャペロンとしての機能を解析した.自律応答型人エシャペロンが機能発現モデルを提示し,それに基いて,自律応答型人エシャペロンの設計スキームを構築した.
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