研究課題
奨励研究(A)
遺伝子として哺乳類培養細胞内に導入したリボザイムを効率的に作用させる際には、(1)リボザイムの転写量、(2)細胞質への移行、(3)細胞内での安定性、(4)リボザイムそのものの活性、(5)標的mRNAの構造の5点が効果を左右する重要な因子となっていることが解明された。リボザイムの転写量を上げるためにポリメラーゼIII系の転写系であるtRNAプロモータをリボザイムに連結した。リボザイムは連結したtRNAを含めた形で転写されるが、このtRNAの高次構造が細胞質へリボザイムを移行させるために重要で、tRNAを天然型に近い高次構造に保つことがリボザイムの輸送の条件であった。安定性、活性を向上させるためにバルジ構造の導入、ステム構造の調節を行うことが有効であった。さらに、標的mRNAが堅固なステムを形成してリボザイムのアクセスを妨害している場合は、リボザイムにRNAスライディングタンパク(RNAヘリケースなど)と相互作用するアプタマー配列を連結したハイブリッド型リボザイムを作成することによって、標的のステム構造を解きほぐしながら、標的配列と結合させることが可能となった。このように哺乳類細胞においてはtRNA、RNAスライディングタンパクと相互作用するアプタマーを連結したハイブリッドリボザイムの開発によって、任意のmRNAを効率よく確実に破壊することができるようになった。植物におけるポリメラーゼIIIの転写システム、細胞質へのtRNAの移行メカニズム、RNAヘリケースなどは哺乳類細胞と類似していると考えられるので、哺乳類におけるリボザイム設計の知見をもとにして、植物で機能するリボザイムの設計方法を確立を試みた。
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