研究概要 |
電気化学は超音波反応場を解析するために最も簡便かつ有効なツールとして最近注目され始めている。特に直径がキャビテーションバブルサイズより小さい超微小電極の利用は,その優れた空間及び時間分解能が期待されている。研究代表者は,超音波照射下での1mM Fe(CN)_6^<3->/Fe(CN)_6^<4->の酸化還元挙動をサイクリックボルタンメトリーで測定したところ,通常サイズ(直径3mm)の電極上で物質移動促進によって著しく増大した酸化または還元電流のみ観測できたが,径12μm超微小電極を用いた場合では,増大した電流中で超音波音圧の物理的攪拌効果による(直流)成分と,個々キャビテーションによる交流成分をそれぞれ観測でき,後者の効果が特に大きいであることを明らかにした。これはキャビテーションにより電極表面の垂直方向にマイクロジェット流が発成し,拡散層が極限までに薄められたためと考えられる。高速マイクロジェット流にとり瞬間的な遷移電流は微小電極上で検出できるため,個々のキャビテーションイベントの捕捉が可能となった。本法により,反応場におけるキャビテーションの寿命,分布及び発生の頻度などを実測できた。更に,微小電極を用いた高速ボルタンメトリーによりキャビテーションに誘起されるラジカル反応の解析も可能になった。超微小電極を用いた計測では,通常電流値は極めて小さい(pAオーダー)。そのため,キャビテーション発生する際に反応場中のノイズ測定も可能であり,キャビテーションの非線形特性の解析や衝撃波を発生する条件などの解明が期待できる。 研究成果の一部は日本音響学会2001年秋季研究発表会,第32回中部化学関係学協会支部連合秋季大会,化学工学会東海支部大5回研究交流セミナーなどにて発表,一部はJ.Phys.Chem.などの学会誌に投稿中である。
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