Na_2O-Al_2O_3-4SiO_2系Na+イオン伝導性ガラスをアルミナ基板上で一旦溶融させることにより参照極を完全に封じ込め、無機接着剤を使用せず参照電極を完全に密閉するセンサの開発を行っている。これにより非常に機械的強度の大きいセンサを作ることができ、また参照極へのガスの浸透による起電力のシフトを防ぐことができる。当初、Ptを参照電極として検討を行なったが、再現性(センサを作製する度に起電力値が異なる)や経時安定性(時間が経つと起電力が変化する)の問題があった。そこで、Niを参照電極として固体電解質ガラスに封じ込めCO_2ガスセンサへの応用について検討を行なったところ、以上のような問題点は克服され安定な起電力を示すセンサを得ることに成功した。これは固体電解質で封じ込められたNi電極表面にNiOが形成され、この平衡により酸素分圧が固定されるためであると考えられる。しかし、熱力学データより計算した値とかなり異なっており、実際にはさらに複雑な平衡により酸素分圧が固定されていることが示唆される。CO_2ガスセンサについては測定極の補助相としてNa_2CO_3を使用したが、NaClを用いた塩素ガスセンサについても検討を行ない、安定な起電力を得ることを確認した。このようにNi参照極を封じ込めたセンサは、測定極の補助相を違うものに変えるだけで検知ガスを様々な検知ガスに対応でき、硝酸ナトリウム等を用いたNOxガスセンサへの応用も可能であると考えられる。今後の研究により長期安定性についても検討を行なう予定である。
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