研究概要 |
電子ビーム描画装置により三角格子状の微細突起配列(突起間隔500nm)を作製し,この突起配列をアルミニウム表面にインプリントすることにより,アルミニウム表面に三角格子状のくぼみの配列を形成した.これを陽極酸化することにより,窪みの配列に対応して細孔がサブミクロンスケールで理想配列したポーラスアルミナを得た.これを出発構造として2段階の鋳型を行うことにより,細孔が理想配列したメタルのホールメンブレンを得た.陽極酸化ポーラスアルミナの細孔のサイズを変化させることによりメタルホールメンブレンの細孔サイズの制御を行い,それぞれの試料について大気中での透過スペクトルを測定したところ,細孔周期の1.0〜1.2倍に極大ピークを有する可視域のバンドパススペクトルが得られ,また,長波長側の透過の立ち上がりは細孔のサイズに依存することが確認された.細孔に屈折率約1.5の樹脂を充填して同様に透過スペクトルを測定したところ,透過する波長帯域が屈折率に応じて長波長側にシフトすることがわかった.これは,電磁波が細孔内でその屈折率に応じて短波長化し,大気中におけるメタルホールメンブレンの光透過とは異なる現象が生じたものと考えられる.細孔内に更に光屈折率の媒体を充填することにより,より長波長の光を細孔内で伝搬させることが可能となると考えられる.
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