半球状ヘテロ芳香族化合物の構造単位及び合成原料となるtert.-ブチル基を導入したフルオレン類、ジフルオレン及びフルオレニリデンの合成を行い、それらの構造特性を温度可変核磁気共鳴スペクトル、X線構造解析によって評価した。 酸化的光環化反応による半球状ヘテロ芳香族化合物への1段階合成を行い、微量の環化生成物及びピナコール転位生成物を得た。 また、酸化剤の種類を変化させることにより、それらの収率を向上させることを可能にした。 さらに、ピナコール転位生成物の構造を温度可変核磁気共鳴スペクトル、X線構造解析によって明らかにした。 上記で構造が明らかになった半球状ヘテロ芳香族化合物構造単位のフルオレン類とクロムカルボニルとの錯形成を行い、その金属錯体群を単離し、構造を評価したところ、非常に興味あることに、近接環の電子的相互作用の影響を大きく受けた構造であることが判明した。 また、窒素原子を構造中に含む半球状ヘテロ芳香族化合物の構造単位及び合成原料として、ピリジン環を構造に含むピリジノファン類を合成し、それらの構造特性を温度可変核磁気共鳴スペクトル、X線構造解析によって明らかにした。 置換基によって、それらの柔軟性は大きく異なり、分子内の弱い相互作用がコンフォメーション構造を決定していることが判った。 上記で構造が明らかになった半球状ヘテロ芳香族化合物構造単位のピリジノファン類と金属イオンや有機分子との錯形成を行い、その金属錯体群を単離した。 特に、それらの白金族錯体群はX線構造解析の結果、剛直な杯状構造を有し、空孔上部に溶媒分子を取り込んでいることが明らかとなった。
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