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2001 年度 実績報告書

アロステリズムを利用した非線形応答システムの創製

研究課題

研究課題/領域番号 13750801
研究種目

奨励研究(A)

研究機関九州大学

研究代表者

竹内 正之  九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70264083)

キーワードダブルデッカー型ポルフィリン錯体 / 非線形応答 / アロステリズム / ガン関連糖鎖抗原
研究概要

アロステリズムを分子認識系に組み込むための指針として、回転軸周りに論理的に認識部位を配置するという我々の作業仮説が正しいかを検討するために、ダブルデッカー型ポルフィリン錯体を基本骨格として選び、種々の分子認識系を構築してきた。本年度は、分子として、ガン関連糖鎖抗原であるルイス糖類を選ぴ、それぞれ対応する認識部位をダブルデッカー型ポルフィリン錯体に導入した。ボロン酸誘導体を導入した化合物においては、我々のグループで行ってきたボロン酸を用いた糖質認識化学に新たに正のアロステリズムという概念を加えたことになる。その結果、従来の手法では認識することが非常に困難であったマルトオリゴ糖、ラミナリオリゴ糖などのオリゴ糖鎖のセンシングが可能であることを世界に先駆けて示すことに成功した。さらにボロン酸を導入したダブルデッカー型ポルフィリン錯体は単糖よりもオリゴ糖に対して高い親和性を示し、アロステリズムを発現しない化合物に比べて、認識に伴うシグナル強度が増幅されることを明らかとした。細胞接着に重要でありかつガン関連糖鎖抗原であるルイスオリゴ糖類をターゲットとして検討したところ、世界で初めて「水中」かつ「人工合成分子」で認識することに成功した。以上の結果から、(1)弱い化学・物理シグナルの増幅、(2)ゲスト分子に対する選択性、感度の向上にアロステリズムが非常に有効であることが明瞭に示された。しかしながら、ダブルデッカー型ポルフィリン錯体は、水中での安定性が低いため、回転軸の利用を金属イオンからアセチレン軸に展開した分子を新たに設計し、合成した。この化合物は水中において単糖を認識することが可能であり、かつフコースに対しては蛍光スペクトル応答が確認された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] M.Ikeda et al.: "Synthesis of New Diaryl-Substituted Triple-Decker and Tetraaryl-Substiuted Double-Decker Lanthanum(III) Porphyrins and Their Porphyrin Ring Rotational Speed as Compared with that of Double-Decker Cerium(IV) Porphyrins"Bulletin of Chemical Society of Japan. 74. 739-746 (2001)

  • [文献書誌] A.Sugasaki et al.: "First Succcessful Molecular Design of an Artificial Lewis Oligosaccharide Binding System Utilizing Positive Homotropic Allosterism"Joumal of American Chemical Society. 133. 10239-10244 (2001)

  • [文献書誌] M.Takeuchi et al.: "Molecular Design of Artificial Molecular and Ion Recognition System with Allosteric Guest Responses"Accounts of Chemical Research. 34. 865-873 (2001)

  • [文献書誌] S.Shinkai et al.: "Positive Allosteric Systems Designed on Dynamic Supramolecular Scaffolds : Toward Switching and Amplification of Guest Affinity and Selectivity"Accounts of Chemical Research. 34. 494-503 (2001)

  • [文献書誌] Y.Kubo et al.: "Porphyrin Tetramer for Positive Homotropic Allosteric Recognition System : Efficient Binding Information Transduction through Butadiynyl Axis Rotation"Tetrahedron Letters. 42. 7435-7438 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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