研究概要 |
アロステリック相互作用を示すダブルデッカー型ポルフィリン化合物を用い、我々はルイス^Xfamilyなどの生理活性オリゴ糖類を認識することに昨年度(平成13年度)世界で初めて成功した。しかしながら、円二色性スペクトル以外の方法で糖質をセンシングすることは出来なかった。そこで本年度は前年度の化合物の基本設計指針を土台として蛍光応答性のホスト分子を設計した。この化合物を用いて、生理活性オリゴ糖の認識へと展開した。認識過程は、各種分光法(NMR, UV-Vis,蛍光,マススペクトル)を用い、生理活性オリゴ糖としては癌細胞の表層に発現されるルイス^Xfamilyについて検討した。しかしながら蛍光スペクトルによる糖質のアロステリックな読み出しには成功したものの、合成した化合物がオリゴ糖選択性ではなく単糖選択性を示し、オリゴ糖には有意のシグナルを与えなかった。そこで糖質認識部位としてボロン酸以外に金属配位を利用することとし検討を行った。基体となるポルフィリンの中心金属として亜鉛あるいはスズを選び検討したところ、第3の認識部位としての配位結合の優位性が確認された。 ダブルデッカーポルフィリンの8つの置換基を適度な位置に導入すると、不斉を有することに着目し、アロステリックな不斉認識についても検討した。合成は終了しており、糖質認識に応用する。
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