研究概要 |
開始剤に2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(V-50)を用いたスチレン(ST)と活性エステル基を含有するメタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩(MAPDS)とのソープフリー乳化共重合により、スルホニウム基を含有する220nmの粒径を有する単分散な反応性高分子微粒子P(ST-co-MAPDS)を合成した。 P(ST-co-MAPDS)ラテックス中にシリコンウェハを金スパッタリングして調製した金基板を浸漬するだけの操作により、高分子微粒子が基板上で自発的に超粒子組織体とも言うべき安定な単層膜を形成した。単層膜のモルフォロジーをSEMで観察したところ、P(ST-co-MAPDS)微粒子が一定の間隔を保った状態で固定化されていることが明らかになった。基板上に固定化された微粒子密度はラテックス濃度の増加とともに増加する傾向を示したが、2×10^<-2>wt%以上では一定の密度(3.4particles/μm^2)を有する安定な単層膜を構築できることがわかった。電解質(NaCl)を添加したラテックス中で微粒子単層膜の調製を行ったところ、微粒子が凝集した状態で固定化されたことから、P(ST-co-MAPDS)微粒子の単層膜構造においては、微粒子表面に存在するMAPDSおよびV-50由来のカチオン電荷による微粒子間の静電反発と、微粒子と金基板間の相互作用が重要な役割を果たしていることが明らかになった。また、フォトレジストによりパターン形成した金基板上をラテックス中に浸漬したところ、パターン限界の〜1μmの線幅を有するライン上に高分子微粒子を選択的に国定化することができた。以上、本研究ではモルフォロジーが制御されたP(ST-co-MAPDS)微粒子の自己組織化膜を創製するとともに、粒径スケールで高分子微粒子を集積する手法を見出した。
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