これまで、無機-有機複合材料として期待されている環状ホスファゼン分子を配位結合を用いて自己集合させることによって、一般的な有機合成手法では合成が困難なロッド構造を有する配位高分子の合成と組織化に成功している。この結果に基づいて、新たにピリジル基を有するホスファゼン分子とアルキルスルホン酸銀から、配位結合と静電結合を利用した集積化によるHairy-Rod構造をもつ配位高分子の合成を試みたところ、期待通りにHairy-Rod構造を有する配位高分子が得られ、さらに、それら高分子は、側鎖アルキル基のパッキング効果によって秩序構造に組織化されることがわかった。この秩序構造形成は、側鎖アルキル鎖長に依存し、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル基の場合、配位高分子はラメラ構造に組織化され、それらアルキル鎖はRod高分子主鎖に対して40゜傾き、隣接する配位高分子のアルキル鎖同士は入れ子状になっていると推測された。一方、アルキル鎖がドデシル基の場合、ラメラ構造への組織化は認められなかった。続いて、得られた配位高分子の液晶挙動について検討を行ったが、これら配位高分子は液晶性を示さなかった。今後は、アルキルスルホン酸銀と組み合わせる配位子を変えて得られる配位高分子について、組織構造形成と液晶挙動を調べる予定である。
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