高分子ブロックコポリマーのミクロドメイン構造は海(マトリックス)/島(ドメイン)構造と見なせる。目的の第1はミクロドメイン構造から、選択的に1成分を除去する方法を確立することである。島を除去すればメソ細孔材料が得られ、海を除去すればナノ粒子が得られる。第2の目標として、予めミクロドメイン構造を配向させておくことにより、異方的なメソ細孔の作成を行える。第3に、実際に作成した試料の機能発現を試みる。メソ細孔は分離膜または反応場として応用し、ナノ粒子は充填剤または触媒としての応用を検討する。さらに、ナノ粒子をコア-シェル型の2重構造の球とすることも容易であるが、この場合、内核を反応場として利用することも可能であると期待される。これを用いて、ナノ・シリカゲルの作成を試みる。 この目標の中で平成13年度は、ブロック共重合体/添加材料が構成する階層構造から一成分を、分解除去し、メソ細孔材料/ナノ粒子を作成することを試みた。添加材料としてSiO_2のゾルを用いた。ブロック共重合体のコアシェルミセルの中に、ゾルを選択的に可溶化させ、ブロック共重合体の1成分の中に「閉じ込める」ことに成功した。この、構造の確認は大型放射光施設(財団法人・高輝度光科学センターSpring8ビームライン40B2/45XU、および、高エネルギー加速器研究機構・Photon Factoryビームライン15A/10C/9C)を用いて、小角X線散乱測定により確認を行った。また、同時に、これらの構造を透過型電子顕微鏡を用いて観察した。
|