研究概要 |
平成13年度は、メタロセン触媒による共重合体の合成を中心に検討を行った。プロピレンの単独重合において高いシンジオ特異性を示すCs対称構造のジルコノセン触媒を用いて、プロピレンと非共役ジエン(1,5-ヘキサジエン(HD),1,7-オクタジエン(OD))との環化共重合を行い、主鎖に環状構造を有するシンジタクチックポリプロピレン共重合体を合成した。さらに、スチレンの単独重合において高いシンジオ特異性を示すハーフチタノセン系触媒を用いてスチレンとp位をアルキル基で置換したスチレンモノマー(4-メチルスチレン,4-tert-ブチルスチレン)との共重合体を合成した。得られた共重合体の構造については各磁気共鳴を用いて解析し、分子量、分子量分布についてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。いずれの共重合においてもコモノマー含量は共重合における2つのモノマーの仕込み比により容易に制御することが可能であった。プロピレン/HD共重合では、HDは選択的に環化挿入し、シス,トランス-シクロペンタン構造を形成していることが確認された。一方、プロピレン/OD共重合では、ODの大部分は環化挿入し、シクロヘプタン構造を形成するものの、一部は1,2-挿入し側鎖にビニル基を形成していることが明らかになった。また、スチレン/置換スチレン共重合では、取りこまれた4-置換スチレンは共重合体中において、シンジオタクチック構造を形成していることが明らかとなった。得られた共重合体について、示差走査熱量により熱的性質を測定し、コモノマー含量の増加に伴う顕著な融点の低下がみられた。
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