研究概要 |
本年度の調査においては,生物指向的な設計手法および生産手法全般に関して,文献調査を実施した。具体的には,各種のエージェント手法や自己組織化の手法,免疫系・遺伝系などに代表されるバイオロジー,さらに人間の知覚器などについての調査を幅広く行い,コンピュータという仮想空間を利用して製造業に適用するための現在の最新技術の動向や可能性,現時点での技術的課題などの整理を試みた。その結果,システムの自律性に関しては自己組織アルゴリズムや免疫アルゴリズム,システムの協調性に関してはエージェント手法全般,システムの進化性に関しては遺伝的アルゴリズムや遺伝的プログラムなどが有効であることが整理された。 次に,複数の自律的なシステム要素により協調的に設計・生産を実現化するために解決すべき問題を,幾つかの部分問題に分割する問題分割や,複数の問題解決の結果を寄せ集めて目標とする解を導出する解統合などのプロセスを明確にすることを試みた。上記の生物的アプローチ手法の特徴を考慮して,このそれぞれのプロセスが抱える問題に対して適用できる手法を検討した。具体的には,過去の実績や事例に対しては自己組織化アルゴリズムを用いて類型化し分類を行い,それぞれの類型化されたパターンの特徴を抽出し,エージェントを作成する。このエージェントにより協調作業を行いつつ,免疫アルゴリズムや遺伝的アルゴリズムを用いて,システム全体の最適化をはかる枠組を構造した。
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