研究概要 |
X線CTにより岩石や土など地質材料の内部における力学的挙動ならびに透水現象の可視化を実施し、これまでボアホール壁面でのみ直接計測が可能であったき裂の力学的挙動,形状,き裂内流体の浸透の定量的評価に関する基礎実験を実施した。平成13年度は,まず,亀裂性岩盤の力学的挙動解析ツールの開発を実施した。さらに,岩盤内亀裂の力学挙動ならびに流体の浸透現象に関するX線CTデータについて,有効な画像処理技術を開発するとともに,実験結果の解釈に必要な理論を構築した。 具体的には、まず,亀裂性岩盤の力学的挙動解析に関しては,均質化手法も用いた岩盤の変形特性ならびに亀裂進展プロセスを解析手法の開発を行った。これにより,従来は均質等方弾性体による解析とは異なり,岩盤内の亀裂の力学的干渉を考慮した解析が可能になった。これらの結果を基に,実際にX線CTによる人口亀裂の変形特性解析を実施する予定である。 次に,時系列画像の差分と局所領域平滑化手法が、空隙構造、体積含水率の定量に有効な手段であることを示した。また、岩盤内おける液体の移動および岩石内部における亀裂の成長進展などの画像処理に有用な高度ソフトウエアを新たに開発した。さらに,岩盤内浸透流解析などに不可欠な透水係数など物性定数の評価の理論と実際を明らかにした。 透水実験に関しては、他段階加圧法と呼ばれる新しい実験方法を開発し、一次元透水実験により得られる時系列投影の差分から透水係数と有効拘束圧の関係、並びに透水フロントにおけるマトリックスサクションの同時定量を可能にした。以上より、X線CTは岩盤力学のモデル実験に有用かつ有望な観測方法であり、亀裂や透水現象の定量的解析に利用できることが明らかになった。 以上の研究成果については,早期に学会誌に論文報告する予定である.
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