研究概要 |
オオムギBACライブラリーの作製は,Nakamura et al.(1997)を参考にした.本年は,醸造用オオムギ「はるな二条」を材料にして研究を進めた.幼緑葉由来のプロトプラストから単離した高分子量DNAを制限酵素Hind IIIで部分消化後,CHEF DRIIIで分画し,Hind III消化し末端を脱リン酸化したpBAC-LACベクター内にライゲーションした.これを大腸菌DH10Bに導入し,クロラムフェニコールを含む培地上で組換えコロニーを青白選抜した.組換え体の一部に関して,BAC DNAを抽出し,インサート長を調査し,適当であるものに関して384ウェルマイクロタイタープレートに回した. 2002年2月現在,得られた組換えコロニーのうちランダムに選抜した174コロニーについてそのインサート長を調査した結果,平均インサート長105.4kb、(49.5kb〜177.1kb)の組換えコロニーを概算で約84,O00(約1.8ゲノム相当,非組換え体;<2%)得ている. オオムギBACライブラリーを構築する過程で,形質転換効率に大きく影響を与えるライゲーション反応の幾つかのパラメータについて形質転興効率による比鞍を行い,最適な条件の探索を試みた.本研究では,ライゲーション溶液中のDNA濃度が形質転換効率に与える影響およびライゲーションの反応時間について検討した.その結果,ライゲーション溶液中のDNA濃度で約7倍の違いが,形質転換効率では100倍程度の差を生み出すこと,また,ライゲーション時間でも反応時間が形質転換効率に大きく影響するという結果を得た.これらの結果をふまえ,今後さらに高い形質転換効率を得るための条件検討を進めている.
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