研究概要 |
本年度は所期の研究目標を達成するために、以下の二つの事項について実験を行った。 1.シャロット由来単一異種染色体得を添加したネギ系統を用いたクロロフィルおよびその分解物の定性・定量分析 昨年9月より月に一度、ネギ、シャロットおよび8種類のシャロット由来染色体をそれぞれ添加したネギ系統から葉身部を採取し、それらから抽出した内容成分に関して以下の測定を行った。クロロフィルはN, N-ジメチルホルムアミド法により、その分解物はHPLCを用いてそれぞれ分析し、葉身抽出物中の含量を測定した。全ての材料でクロロフィルa (Chl a)およびb (Chl b)がみられ、その割合は前者が圧倒的に多かった。添加系統ではシャロット5A染色体添加型において、サンプル採取月の違いによる含量の著しい変化がみられた。すなわち、11月までは非常に低い含量で推移していたが、12月に入ると著しい増加がみられ最も高い含量を示した。Chl a含量はサンプル採取時期によって変化し、安定して高い生産量を示す添加系統はなかった。3種類のChl a分解物[酸化型クロロフィルa (Chl a-1)、フィオフィチンa (Phy a)、クロロフィリドa (Chlide a)]の含量は添加系統間で顕著な違いがみられなかった。来年度も継続的に含量調査を行う予定である。 2.シャロットにおけるクロロフィル分解に関与する酵素遺伝子の単離 シャロットのクロロフィル分解過程で働いていると思われるクロロフィラーゼ遺伝子の単離をカンキツ類などの既知配列をもとに設計した混合プラーマ-セットによるRT-PCR法により試みているが、現在までのところクロロフィラーゼcDNAクローンを得るところまで至っていない。今後も、問題点を改良し遺伝子単離へ向けた実験を継続していく予定である。 上述した1.の研究成果の一部は学術論文として、近日中に公表する予定である。
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