今年度は、まず、研究対象候補地を地形、規模に応じて設定した。規模としては一群の水田が一望出来る範囲、地形としては傾斜が急な地域と緩やかな地域に分けてとらえるものとした。 これらの対象地において、複数の調査員により、景観に最も影響すると考えられる畦畔の植生について生育する植物種を中心に調査を行った。その結果、いずれの水田畦畔も一般的な畦畔植生であることが明らかとなった。また、調査時には人為的介入度について、植生の状態などから評価を行った。その結果、対象地は若干の管理頻度の差があるものの、通常の水田管理の範囲内であると推察された。 一方、景観調査は春期から冬季にかけて対象地の景観写真を撮影し、基礎データとした。これらの基礎データの内、対象地の景観を最も代表する写真を用いて景観評定調査を行った。調査には視線解析装置(EMR8)を用いた。その結果、人間が水田景観を評価する場合、周辺の状況として、山のスカイラインや構造物に影響される傾向が認められた。また、水田景観そのものの評価は、季節を感じさせる植生や稲刈り等の人為的行為が影響しているものと予想された。さらに、対象までの距離により、評価の基準が異なっていることも予想された。 今年度の研究では、農村景観の捉え方について季節感や周辺状況、距離等が影響することが予想されたため、次年度以降、その具体的内容にっいてより詳しく調査する必要があろう。さちに、比較対象地を追加する事も検討の必要がある。また、写真という二次元の評定だけでなく、現地での三次元空間での評定を行い、研究の精度をより高める予定である。
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