研究概要 |
農薬が有用生物の繁殖行動に及ほす影響評価を行うためには,そのプロトコールを策定する必要がある。またある地域の水田に生息する有用生物は多種多様であり,それら全てを対象とした影響評価試験は案質的に不可能である. そこで試験に適した種の選抜をまず行った.そのため,まず関東・関西・そして福岡市において水田に生息する有用昆虫である寄生蜂類の採集調査を行った.そしてそれらの地域に共通に生息する寄生蜂のうち6種類を室内で飼育し,試験生物としての適性を調査した.試験天散として求められるのは,普通種で,広域に分布し,同定が容易で、比較的大型であり,飼育が簡単で,実験操作の容易であることであるが,これらの条件を満たす有望な試験天散として,鱗翅目害虫の広食性蛹寄生蜂アオムシヒラタヒメバチを選抜した。 次に,農薬感受性試験を行った.試験生物としては少なくとも非選択性殺虫剤に対しては,感受性が高いことが求められる.アオムシヒラタヒメバチは,非選択性殺虫剤に対する感受性が高い一方で,選択性が強いと考えられている農薬に対する感受性は弱かった. 次に,農薬の寄生蜂の繁殖行動に及ほす悪影響評価を行う際に重要であると思われる行動形質をいくつか選択した.それらは,寄主認知能力,寄主識別能力,交尾能力,卵生産能力である.また蜂の性比についても調査項目とした,そしてそれらを調査項目とした場合の,アオムシヒラタヒメバチの繁殖行動に及ほす影響について5種類の主要化学農薬の影響について実際に調査し,効率的な調査方法について検討した.
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