まず、材料となるシロアリを選定するため、西表島および沖縄島にてサンプリングを行った。採集された7種類のシロアリについて、唾液腺と消化管内各部に含まれるβ-グルコシダーゼ活性の分布とタンパク量を検討した。その結果、コウシュンシロアリの唾液腺が最も高い比活性を示すことが明らかとなった。そこで、コウシュンシロアリの唾液腺を用いて、その後のβ-グルコシダーゼ精製条件の検討を行った。 精製条件の検討は、FPLCを用いた液体クロマトグラフィーで行った。液体クロマトグラフィーのカラムとして用いるイオン交換体の選定に、簡易テストキット(HiTrap IEXテストキット:アマシャムファルマシア)を用いた。その結果、HiTrap DEAEセファロースカラムが、もっとも高い分離能を示した。そこで、このカラムを用いて最適なイオン交換条件の検討を終えた後、500対の唾液腺から抽出した粗酵素液の分離を行った。さらに、得られたβ-グルコシダーゼ画分をSuperdex-75ゲル濾過クロマトグラフィーによって精製を進め、50μgの精製たんぱくを得た。このタンパク質をSDS-電気泳動にかけたところ、2本のメジャーなバンドが確認された。そこで、プロテインシーケンサーを用いて、これら2本のバンドのアミノ酸配列の解析を行った。この結果、N末端の約30アミノ酸の配列が明らかとなった。得られたアミノ酸配列をホモロジー検索にかけたところ、60kDaの位置に観察されたバンドがβ-グルコシダーゼであることが確認された。
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