研究概要 |
今年度は、昨年度にコウシュンシロアリの唾液腺から部分精製したβ-グルコシダーゼを用いて、酵素学的な解析を行った。まず、セロビオースを基質としてβ-グルコシダーゼの諸性質を検討した。 Lineweaver-Burkプロットにより、K_m値を求めたところ2.5mMであった。しかし、部分精製酵素であるため、V_<max>値を求める事はできなかった。PHに対する反応について検討したところ、最適pHは5.6であり、pH4〜7の間で、最大活性の50%以上の活性を保持することがわかった。また、様々な温度条件に対して酵素活性を調べたところ、20〜45℃の間で安定に活性を保つことがわかった。しかしながら、55℃以上の温度で酵素溶液をインキュベートしたところ、30分以内に完全に失活した。これらの性質について、キノコシロアリ亜科に属するMacrotermes mulleriから精製されたβ-グルコシダーゼAと比較したところ、大きな違いは認められなかった。次に、様々な基質に対して酵素活性の変化を検討したところ、シロアリ唾液腺β-グルコシダーゼはp-nitrophenyl-β-D-fucosideやラミナリビオースをよく分解したが、p-nitrophenyl-β-D-galactosideやラクトースはほとんど分解しないことがわかった。また、ゲンチビオース、ラミナリン、およびサリシンは全く分解しなかった。このことから、この酵素が、グルコピラノシドのβ-1,4結合だけでなく、β-1,3結合も潜在的に分解しうる能力を持つ事が明らかとなった。さらに、これらの基質特異性の結果から、このβ-グルコシダーゼが3つのクラスに分類されている昆虫β-グリコシダーゼのうち、クラス1β-グリコシダーゼというカテゴリーに属することが明らかとなった。
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