研究課題
奨励研究(A)
平成十三年の四月から十二月にかけて弘前大学農学生命科学部附属生物共生センター金木農場の水田から、二ヶ月毎に、落水期(四月、十月、十二月)、湛水期(六月、八月)の土壌を採取し、水素・炭酸ガス、酢酸、メタノール、2-プロパノールを基質としたMPN法によりメタン生成菌の計数を行い、土壌の採取時期、湛水、落水とは無関係に10^4〜10^7MPN/g(乾土)の数値を得た。各基質のMPN陽性チューブにからメタン生成細菌の分離を試みており、現在までに、湛水期(六月)の水素・炭酸ガスを基質としたMPNチューブより、運動性の湾曲状桿菌Methanospirillum sp.、非運動性の桿菌Methanobacterium bryantii、湛水期(六月)の水素・炭酸ガスを基質としたMPNチューブよりサルシナ様Methanosarcina mazei、湛水期(六月)の2-プロパノールを基質としたMPNチューブから不定形球菌Methanoculleus sp.の分離に成功している。落水期のMPNからのメタン生成菌の分離は現在進行中である。今回分離に成功したメタン生成菌のうち、Methanospirillum sp.に関してはこれまでに水田土壌からの分離例は報告されておらず、しかも16S rRNA遺伝子の配列比較からMethanospirillum属の新種であることが示唆されており、今だ不明確な水田土壌のメタン生成菌群構造に新たな知見を加えることが出来た。
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