1.イネNADH依存性グルタミン酸合成酵素(NADH-GOGAT)遺伝子プロモーターの解析 イネNADH-GOGAT遺伝子の上流域配列は、外来窒素に応答した発現と時期・組織特異的な発現を制御するプロモーター領域を含む。同上流域のデリーション配列をレポーター遺伝子と連結したキメラ遺伝子系列を導入したイネ形質転換体群を作出して、制御配列候補を選定した。この結果、転写開始点を+1として、-142〜-42bpの配列中に地上部維管束組織特異的な発現を制御するシス配列が存在する可能性が示唆された。さらに、-142〜-42bpの領域に関して、ゲルシフト解析を行った結果、-122〜-103と-102〜-83及び-62〜-43の各領域で、核内タンパク質との相互作用が確認された。現在、酵母one-hybrid法により、上記の各配列と相互作用するタンパク質因子の単離を試みている。 2.イネNADH-GOGAT cDNAをセンス方向で導入したイネ形質転換体の解析 日本型イネ(ササニシキ)のNADH-GOGATプロモーターの下流に同遺伝子cDNAをセンス方向に連結したキメラ遺伝子を導入したインド型イネ(カサラス)形質転換体のT1世代の解析及び導入遺伝子がホモ接合体として固定された系統の分離を試みた。T1世代においても、野生型と比較してNADH-GOGAT含量が顕著に増加または減少した系統が分離された。NADH-GOGAT含量が減少した系統では、野生型と比較して、当代で見られた穂重量・穎果一粒重の顕著な減少は認められなかった。しかし、NADH-GOGAT含量が増加した系統では、当代と同様に穂重量・穎果一粒重の増加の傾向が認められた。また、NADH-GOGAT含量が増加した系統のT2世代において、導入遺伝子をホモ接合体として有す可能性のある系統を分離した。
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