研究概要 |
ラビリンチュラ類の新規単離株をDHA生産に関する遺伝子源として,DHA生合成に関わる酵素群の同定並びに遺伝子探索を行った。真核生物に共通する高度不飽和脂肪酸の生合成経路においては,脂肪酸不飽和化酵素が重要である。その特徴的な構造として3つのヒスチジンボックスが存在するので,これをもとにオリゴプライマーを作成してPCRを行ったところ,オレイン酸をリノール酸に変換するΔ12不飽和化酵素,及びリノール酸をγ-リノレン酸に変換するΔ6不飽和化酵素にそれぞれ対応すると思われる遺伝子断片が得られた。一方,真核生物であるSchizochytrium属微生物と魚類腸内細菌Shewanellaとの間にDHA/EPA生合成機構に関する類似性を見いだしていたので,Shewanellaにおいて単離されていたEPA生合成遺伝子と相同性を示す遺伝子の探索を行った。その結果,KH105株ゲノムDNAから幾つかの機能的ドメインを含む相同断片が得られた。さらに,不飽和化酵素遺伝子とともに全長の取得を試みており,酵母などでの機能解析を行っていく。
|