研究概要 |
1.Spectamineの合成経路の確立と(-)-cassineの全合成 近年、2,6-disubstituted-3-piperidinol類は顕著な生物活性を持つアルカロイドとして多くの注目を集めている。その中でも最近本学の農学部生理活性研究室の廣田助教授らはアフリカ産の豆科植物Senna spectabilisから著しくスーパーオキサイドの産生を抑制する化合物を単離し、spectamineと命名した。本研究では。絶対立体配置の決定、構造活性相関の研究を行うためPd(II)による立体選択的な環化反応を鍵反応とした全合成を目的とした。まず、市販の1,4-butanediolを出発物質として9工程で炭素数8のアリルアルコールを合成した。 続いて、天然型の酒石酸ジエチルを用いたSharpless酸化等の反応を用いて末端エポキシドを得た。さらに、アミノ基を導入しアミノアリルアルコールを得てPd(II)による立体選択的な環化反応を行ったところ完全な立体選択性で全ての置換基がcisの生成物を得た。現在、側鎖のカップリング反応も終了し、残り3工程で合成が完了する予定である。また、この研究の過程でやはり2,6-disubstituted-3-piperidinol類の一種である(-)-cassineのエナンチオ選択的全合成に成功し、現在投稿準備中である。 2.バンレイシ科アセトゲニン類の合成 申請者らは極めて強い抗腫瘍活性を持つバンレイシ科アセトゲニン類の合成を行ってきたが、最近ビスホモアリルアルコールのジアステレオ選択的なエポキシ化反応を見いだし、モノテトラヒドロフランアセトゲニンであるcis-solaminの全合成に応用した。この成果は現在アメリカ化学会誌Organic Lettersに印刷中である。
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