高分子ゲルでは、動的弾性率及び相関距離が、ゲル化点からの隔たりに対してスケーリング則: A∝ε^α A:物理量、ε:ゲル化点からの隔たり、α:臨界指数 で表されることが知られている。弾性率の臨界指数tは、相関距離の臨界指数νと空間次元dに依存し、ゲルの弾性機構に応じて、ベクトル弾性の場合には t=dν+1 スカラー弾性の場合には、 t=1+ν(d-2) となる。比較的単純な高分子ゲル系として、ポリアクリルアミドゲルを選び、スケーリング解析を試みたところ、動的弾性率の濃度依存性のデータとゲル化点からの隔たりとの両対数プロットは良好な直線性を示し、スケーリング則が成立していることが示された。臨界指数間の関係から、スカラー弾性であることが示唆された。本年度の研究によって理論的解析方法が確立したので、次年度では、高分子の構造変化と物性との関係を実験的に検討し、理論の適用妥当性を明らかにしてゆく予定である。
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