研究概要 |
平成13年度は、W/O/W型エマルションの調製条件の影響を定量的に評価するために種々の検討を行った。 食品としての用途を重視し、原料となる界面活性剤・脂質等は食品で利用可能な物質を用いた。具体的には、脂質として鎖長8の脂肪酸からなる中鎖脂肪酸トリグリセリドを用い、界面活性剤には縮合リシノレイン酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた。 調製方法には、W/O/W型エマルションの重要な性質である粒径をコントロールするために、二段階乳化法に加えて膜乳化を用いた。膜乳化を行うに際しては、本研究で使用する少量のエマルション(10mL以下)を調製するために独自の膜乳化装置を作成して用いた。この装置により、30mL以下のW/0/W型エマルションを膜ろ過を用いて微細化することが可能になった。 上記の条件で検討を行った結果、親水性指標物質1,3,6,8-Pyrenetetrasulfonic acid tetrasodium saltの保持率が94%以上で、粒径が3-0.7μmの微細で分散の少ないW/O/W型エマルションを調製することが可能になった。調製されたW/O/W型エマルションは一週間の間、4℃で静置して安定であった。また、種々のポリグリセリン脂肪酸エステル及び酵素分解レシチンについて、調製されるW/O/W型エマルションの保持率・粒径に与える濃度の影響を検討し、親水性が高いほど安定なエマルションが得られることを明らかにした。 また、本研究の結果、使用している条件下ではW/O/W型エマルションの外水相が内部に取り込まれることが明らかになった。そこでその条件を勘案しながら、外水相で使用されているデカグリセリンラウリン酸エステルの所在についてTLC-FIDを用いて検出し、界面活性剤が外水相・油相・界面のどの部位にどのぐらいの量比で分布するかを定量的に明らかにした。上記の取込が膜乳化により消滅することが顕微鏡観察より示唆された。
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