二酸化炭素分析計、吸引ポンプ、マスフローコントローラ、電磁弁、電子冷却除湿器、ノート型パーソナルコンピュータを用いて、8高度の大気中二酸化炭素濃度値を連続観測することができるシステムを構築した。8測点の採気口それぞれに電磁弁を装着しており、パーソナルコンピュータに接続することにより任意の時間間隔で採気口を切り替え、高さ方向の濃度プロファイルを得ることができる。ポンプで吸引し、マスフローコントローラによって流量が制御された試料ガスは、電子冷却除湿器によって任意の露点温度(>0℃)まで除湿される。その後、過塩素酸マグネシウムを内包した除湿管を通過することで再除湿を行なった後、赤外線吸収方式二酸化炭素分析計(NDIR)にて二酸化炭素濃度を計測する。 システムのテストは平成13年11月から針広混交林に設置したタワー2高度において行なった。テストの結果、冬季の降雪が頻繁で、気温が0℃以下になる本研究地域では、電子冷却除湿器が十分機能せず、過塩素酸マグネシウムの劣化が激しいことがわかった。この問題はシステム設置場所の温度を0度以上に上げることと、吸引口に二段階のフィルタを取り付けることにより解決した。 冬季の濃度プロファイルの連続測定から、土中・雪中で5000ppm以上ある二酸化炭素濃度が、雪面上4mでは大気濃度(大よそ380ppm)にまで低下し、林内の高度による濃度変化は小さいことが明らかになった。また、日中二酸化炭素濃度が低下する日変化が冬季でもおこることが明らかになった。来年度も引き続き連続観測を行なうことにより、林床・林冠構成植物の生育期間における濃度分布パタンを明らかにし、特に林床植物(ササ)の存在が二酸化炭素濃度の変動に及ぼす影響について明らかにしていく予定である。
|