研究概要 |
調査地を岐阜県荘川村六厩の落葉広葉樹二次林(標高約1000m)とした。林内に生育するツリバナ、ツノハシバミの2種を対象とし、個葉の光合成速度を2001年5、6、9、10月に測定した。測定条件は、葉温は15℃と20℃(10月のみ15℃)とした。各個体の開葉から落葉までの期間(2001/4/27〜2001/11/16)、葉長、葉幅を測定した。また、2種の葉の特性を調べるため、林内に生育する数個体の枝先の葉長、葉幅の測定とサンプリングにより個葉のSPAD値とLMAを1週間から1ケ月間隔で測定した。環境因子として日光量子束密度と気温を測定した。また,春季の直射光量を把握するため,2001年6月1、3、21日の3日間にシャドウバンドを用いた光量子束密度(瞬間値)の測定を行った。 ツリバナは、開葉後、急速に葉面積が最大に達したのに対して、ツノハシバミは緩やかに葉面積が最大に達した。5月において比較的低温条件である15℃の条件下で、ツノハシバミの光合成速度が20℃に比べて低かった。しかし、ツリバナにおいては、季節を通じて温度条件における光合成速度の差異は小さかった。これらのことから、2種には春季の開葉様式と開葉直後の低温条件での光合成能力に差異があることがわかった。シャドウバンド法による測定結果から、晴天時と曇天時の直射光量と散乱光量が定量的に分離できた。光-光合成曲線と光量子束密度から、個葉の生産量を推定したところ、春季に非常に高い物質生産が行われていることがわかった。
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