持続的な森林利用を可能にする社会経済的条件を明らかにするために、ミャンマーにおけるウルシ樹脂の採集および流通、ウルシ製品への加工の技術および制度について、文献を収集・分析し、サガイン管区の3ヶ村を対象とする現地調査(ウルシ生育地の毎木調査および村民に対する聞き取り調査)を行った。また日本との条件比較を行うために、岩手県において簡単な聞き取りを行った。 これらの結果、ミャンマーにおいて数百年の歴史を有するウルシ利用に関して、資源的にはゆっくりと劣化し産地が移動していると考えられること、技術的には従来からの簡易な道具を利用して採取していることがわかった。また制度的には、ウルシ採集・流通・加工に関する体系だった組織が存在しないこと、主に農民の副業として行われていること、資源利用規制などの慣習が利用者間に成立していないこと、森林法による積極的な管理が行われていないこと等が明らかになった。その理由として、全体的には資源が豊富であること、調査地が比較的最近ウルシ生産に携わるようになったこと、特定の用途に向けられ需要が概して安定していることなどが考えられた。
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