遺伝子導入に用いる受精卵を得るため、ニベから効率よく計画的に採卵・採精し、受精卵を採取する技術の確立に成功した。すなわち、水温を22-25℃に調整し、日長を14時間明期、10時間暗期にすることで周年採卵可能な親魚を維持できることを見いだした。さらに、直径が0.4mm以上の卵母細胞を有する個体を選び、体重1kgあたり500単位のヒト微絨毛性生殖腺刺激ホルモンを腹腔内に注射することで、注射後約36時間前後で良質の受精卵を再現性良く採取することができた。得られた未受精卵に搾出法で採取した精子を用いて媒精すれば、高率で受精卵を得ることが可能であった。また、受精後15分程度で胚盤が動物極側に形成され始め、マイクロインジェクションが可能となった。マイクロインジェクションにはピペット先端の外径が5μm程度に研磨したものを用いることで、容易に卵膜を貫通し、外来遺伝子を胚盤に注入することが可能であった。また、マイクロインジェクションの際には、受精卵が破損されやすかったため、2%の寒天溶液を用いて受精卵を保持する鋳型を作成した。本装置を使用すれば、受精卵がマイクロインジェクション時に破損することも無く、その後も順調に発生が進行することを確認した。今年度はメダカのβ-アクチン遺伝子に由来するプロモーター・エンハンサーにオワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を接続したコンストラクトを導入に用いたが、次年度は種々のプロモーター・エンハンサーの活性比較を行っていきたい。
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