平成14年度の主な研究実績は以下のとおりである。(1)平成13年度に行った、「協定料金の水準が実勢料金に大きな影響を及ぼすことに関する理論的・実証的な検証」をさらに肉付けるとともに、協定料金を適正な水準に設定することによって農作業受委託の一層の推進・展開が期待されることを示した。(2)そして、その結果から、協定料金の設定意義をより明確にするとともに、本研究の分析的意義の重要性を改めて明らかにした。(3)協定料金の設定水準やその変化が地域農業・地域稲作・地域経済に及ぼすインパクトを計測するための分析モデルの開発を行うにあたって必要となる理論・情報・知識を各種研究会への参加や文献研究などによって収集しつつ、その開発に努めた。具体的には産業連関表をベースとした分析モデルが有効であると判断し、その加工・改良を試みた。また、分析に活用可能なデータや統計資料の収集も行った。(4)分析ツールの開発や分析の前提に関する以上の理論的な作業と並行して、主に近畿地方における現地実態調査を行い、公刊資料その他のみでは得ることのできない現場の生の情報を収集した。なお、本研究で得られた成果・知見は、本研究の課題と関連のあるいくつかの論文において断片的に切り取った形で公開しているものの、「協定料金の設定水準の高低如何が地域稲作・地域経済全体に及ぼすインパクトを多様な側面から計測すること」という交付申請書記載の研究目的に関しては現在とりまとめ中であり、今後、報告や文書の形で公開していく予定である。
|