日本人移民によって1927年に設立され1994年まで続き、最盛期1980年代には南米最大の18300組合員を擁した「コチア産業組合中央会」歴代監事会資料の複写を取り、文献目録を作成した。 現在、サンパウロ州に本部のある同中央会は清算過程にあるが、現地裁判所命令による度重なる清算人交替と事務所の移転により、日本語を主とする貴重な資料の散逸が危ぶまれていた。「コチア産業組合中央会60年の歩み」(1987年刊)執筆者の一人で、その後、コチア史の調査研究をつづけてきた中野順夫専門家の現地における全面協力で、清算人や所轄裁判所、清算事務所との息長い交渉が実り、当該資料は事務所において厳重保管されることとなった。清算人から本研究計画においてのみ閲覧と複写が許され、現在、裁判所に対して、本研究計画への資料移管を申請している。東京農工大学と姉妹校関係にあるパウリスタ総合大学(UNESP)農学部からも研究協力が得られ、成果品の一部は既に日本に送られた。 調査の過程で、清算事務所以外に分散保管されているコチア産業組合中央会資料の所在が明らかになった。今後これらによって、判明している基本資料の欠落を補うとともに、中央会が行ってきた農業研究普及活動に焦点を当て、旧中央会倉庫に保管されている関連資料の整理に取り組みたい。引き続き中野順夫専門家の協力と、パウリスタ総合大学農学部瀧谷イザベル助教授(元東京農工大学客員教授)および同大大学院生の協力を得て、調査研究を推進する。
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