研究概要 |
薬剤塗布機能を有した雑草刈り払い機の開発、および農作業のシステム化を行い、除草剤使用量を抑えることが可能な刈払機の開発を目的とした研究を行った。これまでに得られた知見は以下の通りである。 抑制効果 除草剤塗布による抑制可能希釈濃度を明らかにするために、予備実験としての除草剤塗布実験を、宇都宮大学峰圃場周囲で実施した。実験では、圃場で大豆(豆科),ソバ(タデ科),ソルゴー(イネ科)を各1列,株間15cmで栽培した。ラウンドアップの希釈濃度を100、200、300、400、500倍に設定し(通常は100倍程度)、対照区として切断のみの各草種合計21通りでその後の成長を観察した。その結果、ソバ,ソルゴーに対しては200〜300倍希釈付近に目標とする最適濃度が確認された。さらに、雑草の断面積から、一様散布と雑草断面に付着させた場合には1/40程度まで除草剤の量を減少できることが明らかとなった。 薬剤塗布機能の開発 微少量を連続的に吐出する方法の検討を行った結果、回転により生じる遠心力を利用し、放射状に放出される薬剤を抵抗の大きさで調整する方法とした。その結果、フェルトを圧縮し,透過量を抑えることで,単位面積当たりの雑草の茎断面占有面積に塗布するだけの必要除草剤量を吐出可能であることが確認された。しかし、高回転中の刈り払い機の刈り刃部における薬剤の飛散をどう抑えるかについては現在検討中である。 農作業システムの開発 雑草防除システムのための刈払い時期と雑草生長のシミュレーションモデルの構築を試みた。モデルにおいては、雑草の草丈の最大高さ、雑草の刈払い高さ、および雑草の生長曲線はロジスティック方程式で表現できると仮定した。さらに、刈り払い時期を入力パラメータとし雑草量の評価を雑草の草丈と時間関数との積分で表すモデルを立案した。現在シミュレーションプログラムを開発中である。
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