本研究の目的は、バベシア原虫体内に異種の目的遺伝子を含む発現カセットを導入し、それらを原虫遺伝子内に組み込ませることで目的蛋白質を恒常的に発現しうる遺伝子組み換え原虫の作製法を確立することにある。 現在までに、1)chiken-beta-actin promoter、CMV promoter、ToxoplasmaのGRA geneのpromoter、もしくはB.bovisのRAP-1geneのpromoterを含む4種のEGFP発現カセットを作製し、バベシア原虫内での発現を観察した。現在その発現性状を比較検討している。2)PyrimethamineとTriclosanの薬剤がバベシア原虫の増殖を抑制することが分かり、現在バベシア原虫由来のPyrimethamine標的遺伝子DHFRもしくはTriclosan標的遺伝子FabIをその耐性株からクローニング中である。3)Toxoplasma由来のPyrimethamine耐性遺伝子DHFRを含む発現カセットを構築済みで、遺伝子導入を受けたバベシア原虫のPyrimethamine選択効果について検討している。4)エレクトロポレーション法により虫体内へ遺伝子を導入できることが判明したが、さらにその詳細な至適条件を比較検討している。5)EGFP及びDHFR二つを発現するdual transfer vectorを構築し、同様に組み換え原虫を作製中である。以上を含めて本研究は現在も進行中である。
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