研究概要 |
TGF-βsuperfamilyに属するアクチビンの構造は2種類のβサブユニット(βA、βB)同士のダイマーであり、その組合せによりアクチビンA(βAβA)、AB(βAβB)、B(βBβB)の3種類のアクチビンが存在する。近年、哺乳類において新規アクチビンβサブユニット、βCおよびβEがクローニングされたが、その解析は十分に行われていない。そこで、アクチビンβCおよびβEサブユニット(ActβCおよびActβE)の機能解明を目的とし蛋白質レベルでの解析、さらにそれぞれのトランスジェニック(Tg)マウスの作製を行った。 Degenerate PCRおよびRACE-PCRによりクローニングしたヒトActβEcDNAは350アミノ酸をコードし、推定上の成熟型アミノ酸配列は114アミノ酸でマウスのものと97%の相同性を示していた。次にヒトActβE cDNAをpcDNA3.1(-)/Myc-Hisプラスミドに組み込んだ。このベクター単独またはインヒビンαや他のβサブユニットの発現ベクターと共にCOS細胞に導入し、発現した蛋白をニッケルカラムを用いて精製して各種抗体を用いたウエスタンブロットを行った。ヒトActβCについても発現ベクターを作製し同様の実験を行った。ActβCやActβEはホモダイマーまたはインヒビンαや他のβサブユニットとヘテロダイマーを形成したことからアクチビンCやEとしてまた、アクチビンAE, AC, BC, BE, CEさらにインヒビンCやEとして存在する可能性が示唆された。さらに、ヘパリンカラムを用いたpulldown法によりアクチビンEやCとフォリスタチンとの結合が示された。 さらにアルブミンプロモーター制御下のActβc導入遺伝子をB6c3F1マウスの受精卵前核に顕微注入してTgマウス作製を行ったところ、得られた産仔65匹中1匹において導入遺伝子がゲノムDNAに組み込まれた。CMVプロモーター制御下のActβE導入遺伝子を用いたTgマウス作製では、得られた産仔105匹中1匹において導入遺伝子が検出された。これらのTgマウスはActβCおよびActβEの生理作用を解析するうえで有用であると考えられる。
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