研究概要 |
免疫組織化学2、4、6、7、8週齢のホモ型個体および同腹非発症型個体の脊髄を採材し、ED1(浸潤マクロファージ)、Glial fibrillary acidic protein(GFAP、アストロサイト)、Myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG、ミエリン)、2',3'-cyclic nucleotide-3'-phosphodiesterase(CNPase、オリゴデンドロサイト)、Golgi 58k(ゴルジ装置)、Ubiquitin(変性蛋白)、Proliferating cell nuclear antigen(増殖細胞)に対する抗体を用いて免疫組織化学的に解析した。さらに胸髄白質のCNPase陽性細胞数およびED1陽性細胞数の計測を行った。dmyラットでは、2週齢でMOGの染色性が低下し、7、8週齢ではMOGおよびCNPaseの染色性が低下した。2週齢dmyラットのCNPase陽性細胞数は、対照ラットに比較して少数で、4週齢で増加し、7週齢で再度減数していた。病変の進行した個体ではアストロサイトの腫大やED1陽性細胞数の有意な増加が見られ、二次的な反応と考えられた。白質空胞病変部に一致して腫大した細胞質を持つ細胞が存在し、この細胞はED1、GFAPに陰性、CNPase陽性を示し、オリゴデンドロサイトと同定された。さらにその細胞質はGolgi 58k陰性で、Ubiquitin陽性の所見が得られたことから、退行性変化が示唆された。 In situ hybridization : Proteolipid protein(PLP)mRNAを認識するオリゴプローブを用いて解析した。dmyラットでは、対照ラットに比較してPLP mRNAの発現が弱く、オリゴデンドロサイトの機能低下が示唆された。PLP mRNAシグナルは腫大オリゴデンドロサイトでも確認された。電顕的に腫大オリゴデンドロサイト内には多数のミトコンドリアや小胞体様の膜構造が観察された。dmy遺伝子はオリゴデンドロサイトの分化・成熟に関係していると考えられ、dmyラットはミエリン形成や維持機構の解明に重要な動物モデルになると考えられた。
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