平成13年10月に沖縄県石垣島および西表島から分離した97株について、約700塩基の16SrDNA部分塩基配列を決定し、BLASTによる相同性検索を行った。その結果、cytophaga-flavobacteria-bacteroides系統群に含まれたのは49株であった。したがって、これまでに分離した合計210株の約55%にあたる115株がcytophaga-flavobacteria-bacteroides系統群に含まれた。 この115分離株について、増幅した16SrDNA全長の塩基配列を決定し、詳細な系統解析を行った。16SrDNA塩基配列相同性において95%を基準とした場合、分離株は24の系統群(cfb1〜cfb24)に分かれた。いくつかのグループは、さらに配列の同一性により複数のサブグループに分かれた。系統解析の結果から、18グループがFlavobacteriaceae科に属し、1グループは新たな系統枝としてFlavobacteriaceae科の根に位置した。残り5グループはFlavobacteriaceae科ではなく、一般的にメナキノン-7で特徴づけられる菌群に含まれた。24グループのほとんどが系統的に独立しており、新属あるいは新種として分類されるべきであると考えられた。 以上の結果から、cytophaga-flavobacteria-bacteroides系統群には数多くの未知分類群が存在することが明らかとなった。さらに、国内亜熱帯地域は未知の微生物資源の探索源として有望であることも明白となった。その一方、分離株の多くがFlavobacteriaceae科にかたよっており、多様なcytophaga-flavobacteria-bacteroides系統群の菌株を分離するためには、分離源、分離培地など、分離法の工夫が必要であることも示唆された。
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