1)形質転換ベクターの構築 ミジンコのアクチン及びvasa遺伝子を染色体DNAライブラリーから単離し、各クローンの全塩基配列た。プロモーターを含むと考えられるそれらの遺伝子上流域の下流に、ミジンコのヘモグロビン遺伝子、クラゲのGreen Fluoprescent Protein(GFP)大腸菌のLacZ遺伝子等の選択マーカー遺伝子を連結した形質転換ベクターのシリーズを、比較的広範囲の宿主で機能することが知られているpiggyBacベクターを元に遺伝子工学的に構築した。 2)ミジンコの形質転換形確立の試み マイクロインジェクション法を用いて、ミジンコ卵内への形質転換ベクター導入を試みた。ミジンコ卵にDNA注入用の針を挿入すると同時に内圧により卵が破裂してしまうことから、親個体の背部からのインジェクションを試みた。形質転換ベクターの溶液や、形質転換ベクター溶液を含んだリポソームなどを様々な条件でインジェクションしてみたが、形質転換体は得られなかった。ミジンコ体液中においてDNAが分解されてしまう、体液で希釈されてしまうために生殖系列まで形質転換ベクターが到達しないなどの原因が考えられる。そこで現在は、生殖系列以外の細胞で合成され、その後生殖系列に特異的に蓄積する事が明らかになっているビテロゲニン(既にクローン化済み)タンパクの一部をリポソーム作製時に用いることによって、生殖系列の付近に形質転換ベクターを含んだリポソームを局在させられないか?というアイデアを検討しているところである。
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