大脳皮質に優勢発現することを指標に我々が以前単離したpancortin遺伝子はalternative splicingによって合計4種類の蛋白質をコードし、それらは細胞外で安定に存在するもの(細胞外型Pancortin)2種と細胞内で産生と分解が盛んに繰り返されるもの(細胞内型Pancortin)2種とに分類できる。最近ニワトリおよびカエルの細胞内型Pancortinホモログが神経細胞の移動や分化を制御するとの所見が他グループから発表されたが、細胞外型Pancortinの機能については不明のままである。そこで我々は細胞外型Pancortinの機能を明らかにする目的で本研究においてその欠損マウスの作成を進めてきた。 細胞外型Pancortinの産生に必須と考えられるエクソンの翻訳領域を不安定化green fluorescent protein(GFP)cDNAと置換したノックアウトベクターを構築した。それを用い、相同組換えされたES細胞クローンの取得を目指したスクリーニングを前年度に引き続いて行ってきた。その結果、13年度は残念ながら組み換えクローンは得られなかったが、14年度には2クローンの相同組み換えクローンを単離することができた。今後はそれらをマウス初期胚に注入してキメラマウスを作成し、ノックアウトマウスの完成を急ぐ予定である。そして細胞外型Pancortin欠損マウスの表現型の解析を通じその機能を明らかにしたいと考えている。
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