研究概要 |
末梢神経移植による視神経再生の際に、神経細胞とシュワン細胞の間において、本来は同種細胞の間にのみ見られるはずのtight junctionとgap junctionが形成される.この特異なjunctionの神経再生における役割を様々な手法を用いて明らかにし、構成蛋白であるocculudin、connexinの遺伝子発現をin vivoの視神経再生系において操作し、視神経再生の動態を解析することを目的とする. 細胞に導入するDNA, RNAの作成、即ちoccludin並びにconnexin32,43の過剰発現系、およびdominant negative mutation/antisenseの作成は現在進行中である. 培養シュワン細胞を用いた人工移植片の作成であるが、生後1-3日の新生仔ラット脊髄後根神経節よりシュワン細胞を離離・培養し細胞外基質、神経栄養因子と共に物質過性チューブに充填して人工移植片を作成する条件を設定した.またかかる移植片を成体ラットの切断坐骨神経及び視神経に移植して再生を確認しており、上記の導入遺伝子を細胞レベルで導入し移植を行える段階に達した. 網膜神経節細胞への遺伝子導入方法はelectroporation法を改変し実際の生体眼における遺伝子導入の実現にむけて独自の開発を行なった.全域で平均50%、網膜中心部で70-80%という高率の遺伝子導入に成功し、組織傷害や副作用が起きないことを確認している. 次年度においては実際の遺伝子導入と視神経再生率・再生速度の評価を行う.
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