目的:ペルオキシゾームにのみ局在する代謝系により分解を受ける極長鎖脂肪酸(VLCFA)の網膜形態形成における役割を、正常およびVLCFA代謝酵素欠失動物を用いて明らかにする。 VLCFAは網膜形態形成に重大な影響があるが、脂肪酸の種類により影響は異なり、多価不飽和脂肪酸は網膜形態形成を促進し、飽和脂肪酸はその蓄積により網膜の層形成が阻害されるという逆の報告があり、実際には解明されていない。 1.組織材料:個体と器官における脂肪酸代謝を調べるために、正常およびAOX(-/-)マウスの動物個体と培養細胞・器官を用いる。それぞれについてVLCFA投与実験を行う。動物実験として胎生期から成体マウスの眼球を材料として用いて、細胞培養・器官培養を行う。 2.方法 1)VLCFA投与:動物と培養組織に飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸を投与する。 2)形態観察:動物においては層構造の形成を、培養細胞においては形態変化と細胞増殖・アポトーシスを観察する。 3.現在までの結果 (1)AOX(-/-)マウス網膜の層構造の異常が観察された。 (2)培養神経細胞において突起の形成が阻害された。 但し、以上は途中経過であり確認中である。
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