虚血/低酸素などによる神経細胞障害時に、細胞質Ca^<2+>濃度[Ca^<2+>]iが上昇することは知られているが、[Ca^<2+>]i上昇と電位依存性Na^+チャネル細胞膜発現に関連して、以下のことが培養副腎髄質クロマフィン細胞での検討から得られた。Sarco(endo)plasmic reticulum Ca^<2+>-ATPase(SERCA)の阻害薬DBHQによる急速・一過性の[Ca^<2+>]i上昇は、細胞膜Na^+チャネル発現量を変動させないが、SERCA阻害薬thapsigarginによる中程度・比較的長期の[Ca^<2+>]i上昇は、cPKCαとcalpainを活性化しNa^+チャネルinternalizationを促進した。Ca^<2+>イオノフォアA23187による、さらに高濃度・長期の持続的[Ca^<2+>]i上昇は、Na^+チャネルルα-およびβ_1-サブユニットmRNAレベルを低下させた。[Ca^<2+>]i上昇パターンの違いが、異なる機序により、Na^+チャネル発現量をdown-regulationした。一方、Ca^<2+>/カルモジュリンにより活性化されるホスファターゼcalcineurinの活性をcyclosporin A(CsA)で抑制すると、細胞膜Na^+チャネル発現量が増加した。これは、Na^+チャネルのinternalization rateが、CsA処理細胞(t1/2=20.3h)では、対照細胞(t1/2=13.7h)と比較して、低下していたことと、CsA処理により、トランスGolgi網から細胞膜へのNa^+チャネル輸送が促進されていたことによる。以上これまで細胞障害時に生じる[Ca^<2+>]i上昇とNa^+チャネル細胞膜発現とに焦点をあて研究を進めてきた。現在、低酸素状態で培養した細胞での検討を行っているところである。
|